ヲタ芸論争

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ヲタ芸論争はこれまでも何度か目にしてきたが、論争とは名ばかりで、いつも一方的にヲタ芸とそれを行うファンを批難しているだけに思える。
はじめに断っておくが、問題の本質はヲタ芸などにはないと僕は考えている。例によってファンとしての体面や自尊心を満足させるため、スケープゴートとして世間の蔑視を引き受ける「悪いファン」を仕立て上げているだけではないのか。だから「悪いファン」を批難することに終始しているのだろう。
ルサンチマンの裏返し的な嫌悪感情を排してヲタ芸を認めれば、問題の解決は容易だ。互いに迷惑とならないコンサートの鑑賞方法、盛り上がり方についての取り決めを作ればいい。それが現実的な解決策だと思う。これは逆に言えば、ヲタ芸廃絶論は現実的ではないということでもある。ヲタ芸とは盛り上がりのひとつの形だ。とすれば、ヲタ芸をやめろと言うのは、盛り上がるなと言っているに等しい。クラシックコンサートではないのだから、それは通らない。正しくは、他人に迷惑をかけるな、と言うべきだと思う。コンサートマナーとして処理すべき問題を、皆で寄ってたかってヲタとしての自己意識と結びつけ、ややこしくしている。
ヲタ芸を行うことで、コンサートに来ている一般客がモーヲタ、ひいてはモーニング娘。に対する印象を悪くする、との指摘もあるようだが、その心配はファンの領分を越えている。この指摘を突き詰めれば、モーヲタと一般客、どちらを優遇するのかという、二者択一に行き着くだろう。金落としはいいが世間受けの悪いモーヲタを採るのか、その逆の一般客を採るのか。広く浅くか、狭く深くか。それは事務所側が売り出し戦略として顧慮すべき問題なのではないか。モーニング娘。という商品のイメージを良くしたいと考えるならば、たとえば極論な話、コンサートの八割を家族席にするとか、入場者を中学生以下または女性に限定するとか、様々な手段が考えられる。しかしそうしないのは、モーヲタへの誠意なのか金勘定なのか、何か思うところがあるからだろう。いずれにしても、一介のモーヲタが背負う問題ではない。


ヲタ芸論争にはファン側と事務所側、それぞれ別個に解決すべき問題が混在している。それを気づき難くしているひとつの原因として、ファンによるファンへの見下しが挙げられると思う。繰り返しになるが、世間のヲタ蔑視の風潮をヲタ芸に求めようとする心情が、無意識の内にヲタ芸を行うファンをスケープゴートに仕立て上げているのではないだろうか。ヲタが世間に認められないのは性的な欲求に繋がるもの、またはそれを連想させるものをタブーとする社会通念によるところが大きいと思う。それに比べれば、ヲタ芸による悪影響なんて高が知れている。コンサートに出かけることない僕は、こうした騒動が起きるまでヲタ芸が何たるものかさっぱり知らなかった。
ファン側と事務所側、それぞれ別個に解決すべき問題、とは書いたものの、演者であるモーニング娘。が客煽りを控えることで盛り上がりを抑えれば、万事上手くいくかもしれないと思ったりもする。その場合、ファン側に出来ることは何もないことになってしまうのか。