僕と彼女と彼女の生きる道 第十話

冒頭、ゆらを囲む恒例のお食事会。そこでゆらの立ち位置を再確認していたように思う。親権調停中にある小柳親子に対する接し方について。親子から距離を置けという友人の助言は極めて常識的に聞こえた。誰も傷つくことのない無難な選択。しかしゆらはそれを当たり障りのない逃げの姿勢だと切り捨てる。たとえ別れが訪れるとしても、傷つくことを恐れず、自分との信頼関係を通じて人を信じる前向きな心を養って欲しいと。母親にも恋人にも収まることの出来ない自分。それをわきまえた上で、ゆらは凛に自分の轍を踏んで欲しくはないと語る。
今回のテーマは「信頼」だったと思う。当たり障りのない付き合いは何も生み出さない。そこから脱却してはじめて人との関係を築くことが出来る。恋愛感情を拒否したところからはじまる元部下との関係。ラーメン屋で交わされた元同僚の会話。凛との接し方に戸惑う善朗。そして、お母さんは幸せだったと思うかという父親(善朗)の問いかけに、幸せだったと思うと答えてあげることが出来る親子の関係(親父の家族愛への信頼)。
徹朗の愚痴を受け入れ、徹朗が寝るまで電話に付き合うゆら。恋愛感情を超えた関係性を見出そうとしているように思われる。やはり求道者なのかな。職業の貴賤を否定し、ゆらが体現する生き方をなぞるのだとすれば、徹朗はこのまま洋食屋で働き続けることになりそう。そして親権を失う・・・。冒頭でのゆらの台詞がそのまま小柳親子にも当てはまり、別れを怖がって云々・・・となるのかな。なんにしても全て丸く収まるわけもない。何を失い何を得るのか。残すは二話。