ちゃんちゃか☆チャーミー!

石川梨華が初めて単独パーソナリティを務める生放送ラジオ。単独の重圧とせわしない生放送進行の追い立てが容赦なく圧し掛かる。盗聴された心の傷もまだ癒えぬまま平常心を失った石川は思わず本音を口にする!・・・という場面を危惧していたが、そこは流石プロというべきか上手く取り繕っていたように思う。口を滑らせることなく無難にこなしていた。
それとは別に少し気になったことが。メールで送られてきた企画案に「チャーミーがリスナーに悩み事を相談する」というものがあった。それはパーソナリティがリスナーの相談に乗るといったよくあるものではなく、逆にリスナーにチャーミーが自らの悩み事を相談をしてしまうという仰天企画。おそらくは冗談だろうが本質は得ていたように思う。しかし石川は冗談として聞き流せなかったようで、自分はそんなに頼りなくはないと反論していた。ファンが求める石川像と実在の石川(がありたいと思う自分)像との隔たりをみたような気がしてなかなか興味深かった。石川には年齢とキャリアに相当するだけの自負心があり、それはファン側も大部分で認めているだろう。そこに大きなすれ違いはないはず。これは「石川梨華」という人間の認識相違ではなく、「石川梨華」と「チャーミー」との認識落差ではないかと思う。
過去、凡人石川は与えられた「チャーミー」キャラに活路を見出し、自虐的に自分の欠点をも切り売りした。そうして、情けなくも愛嬌のある駄目なキャラクターが出来上がった。「チャーミー」を自分の中に取り込んだ石川。他メンバーを押しのけ頭角を現していったことは周知の通り。しかし遂に成長し自尊心を得た石川にとって、たとえそれが偽りの自分であったとしても、「チャーミー」と「石川梨華」との同一視を耐えらないと思う時が来たのかな。たしかに石川は随分と成長した。
とはいえ石川には「チャーミー」という逃げ場を放棄する覚悟も能力も今ひとつのような気がするので、まだまだ「チャーミー」を演じていく必要があると思う。それに『ちゃんちゃか☆チャーミー!』という番組名が示すことは、石川単独では番組成立に不足する部分を「チャーミー」キャラで補えということなのではないのかな。石川には酷なことであったとしても、少なくともこの番組内は「チャーミー」キャラで通さなければならない。それは「キャラ」使い(?)の義務でもあるのかも(→松浦・ガクト)。リスナーの認識に間違いはなく、石川がキャラに対して少々無自覚だったということになる。必然的に、石川の可笑しな葛藤はまだまだ続く。しかしいつの日か、「チャーミー」に頼ることなく見事に一人立ちした石川は、今度は「アイドルサイボーグ」と呼ばれることに悩んでいそうな気がしないでもない。