後浦なつみへの勝手な期待

相変わらずネット環境が整わず不自由する日々。近々、再び引越しをする羽目になるかもしれないので、プロバイダ契約に二の足を踏んでいるのがその理由。現在のように先の予定が定まらず、積極的に物事に取り組むことが躊躇されるといった状況は過去幾度となくあったことなので(大学四年次で習得予定単位数が予断を許さない状況であったりとか)慣れたものといえば慣れたものだが。時折この変わりばえのない人生何とかならないものかと思わなくもないがそれはそれでええやん(よくない)。
といった訳でネットによる予備知識が全くないまま、何気なく観ていたテレビによって知ったユニット「後浦なつみ」。とにかく驚いた。特徴的なカツラが目に留まらないほどに驚いた。そして普段はネットによって即時的に真偽入り混じった情報の波に晒され、否応なくメディアリテラシーが磨かれる半面で、送り手が意図する意味でのサプライズが失われてしまっている現状に気がついた。当たり前のことだが、少なくともネットによる情報化は「出オチ」に類する衝撃を半ば無効化してしまっている(←ネタバレとかね)。ネットを見て回っていると「後浦なつみ」に驚くことが出来た自分は幸運な存在に思えてくる。
後浦なつみ」は「ごまっとう」に連なるコンセプトを持ち、毎年のシャッフルユニットやモーニング娘。メンバー増減劇と同じく、もはや恒例行事のひとつであると考えて間違いない。冷静に考えればそれほど目新しいものではないと言える。ただ今回、モーニング娘。への出入りの都合上必然的なものとはいえ、藤本美貴ではなく安倍なつみがメンバーとして名を連ねたことが個人的には興味を惹かれる。「ごまっとう」には感じることが出来なかった不確定性への関心が高まって仕方がない。後藤真希松浦亜弥安倍なつみとどう絡んでいくのだろうか、カツラを含むあの格好から予想される安倍・松浦のノリに、引っ込み思案の後藤真希がついていくことが出来るのだろうか、などと心配の種は尽きない。
ごまっとう」の場合、当時は豪華さを感じさせるメンバー構成ではあったが、「藤本・松浦+後藤」という均衡がユニット内で生じることは誰の目にも明らかであった。今思えば彼女たち三人が持つイメージの平均値を表現したかのような曲調や服装なのどの装いも、期待感はあっても意外性を感じさせるものではなかったと思う。
要するに「ごまっとう」三人の関係性が蓋を開ける前から明白で、三人が共に似通った方向性の魅力(クール&ビューティー)を備えた存在だったことが「ごまっとう」を本道として成立させ、同時に意外性という面白味を欠き、よって遊び心が求められるユニットとしては少々物足りないものであったと思っている。それぞれが売りとする魅力はそれぞれのソロ活動の場で表現していけばいいことであり、それをお祭り気分のユニットにまで持ち込むことはない。連続性のないユニットだからこそ、ソロでは実現出来ない可能性を模索する絶好の機会であり、たとえそれが失敗に終わったとしても本道には差し障りないはずだ。
時に他者との壁(A・Tフィールド)を突き破るまでの明るさを発揮する安倍なつみこそがキーパーソンであると(勝手に)見ている。松浦亜弥が本格歌手へと路線変更し、後藤真希がライブ活動に特化した力強さを身につけて久しい現在、だからこそ「後浦なつみ」は二人が安倍なつみを介して『恋のテレフォン GOAL』に集約されるような能天気なまでに明るさ全開の方向に今一度回帰する意味合いを見出すことが出来る。もちろん三人の関係性も見所ではあるのだが、ここはひとつ「三人祭」の『チュッ!夏パ〜ティ』のように型破り且つフェチシスチックで背徳な魅力に溢れ、メンバーから末永く愛されるような名(迷)曲の登場に期待したい。