うたばん

「今まで歌手として人に歌を伝えることが出来ていましたか?」
自分の歌は人の心を打つものなのか。確かめるため旅に出るソニン。全国を周り路上ライブ。集まるものの、真剣に歌を聴いてくれる人は少ない。歌手ではなくタレントという世間の認識。純粋に歌を聴いて貰うため地方へ。タレントとして通用しない場所では見向きもされず。思いは空回り。自問自答。歌うことへの疑問と苦悩が募る。自分の無力さを実感。咽び泣くソニン。答えが見つからないままライブを再開。対話を通じて大切なことに気がつく。相手は人形ではなく人格を持った人間。一方的な伝達では不完全。独りよがりだった有り方を反省。「伝える」ということの本当の意味を知る。心を通わせた子供たちの前で、ソニンは歌を伝える。
売り上げ枚数など数字の増減ばかりに囚われ、その裏に存在する個々の顔、人格のある聴者の存在を忘れ、気付こうともしない数字相手の商売。破天荒な作りの裏に、商売に偏向する音楽業界への批判を見たように思う。聴者を蔑ろにしては歌を伝えることなど出来はしない。しかし志さえあれば、どのような状況下にあっても歌を伝えていくことは出来る。インディーズへの格下げはしがらみからの開放も意味する。悲観ではなく頼もしさ。行く末を見据えしっかりと地に足をつけたソニン。これからの活動に期待したい。