24(TWENTY FOUR)

テロリストによる次期大統領候補パーマー上院議員の暗殺計画が発覚。暗殺実行は二十四時間以内。暗殺阻止の緊急指令がCTU(テロ対策ユニット)を束ねるジャック・バウワーに下された。CTUに内通者がいるとの情報があり、捜査は極秘裏。誰が信用できるのか分からず疑心暗鬼に。その頃、ジャックの娘キムは親友ジャネットと共に何者かに誘拐されようとしていた・・・。
我が地方深夜枠で集中放送している海外ドラマ。十話まで目を通した。このドラマの最大の売りは「リアルタイムドラマ」だそうだ。ある一日の00:00から24:00までの出来事を全二十四話で構成。一話で一時間進む。時系列的演出は全く無く、ドラマ内の時間は戻りも進みもしない。淡々と時を刻んでいくだけ。現実時間00:00にドラマを観はじめれば、現実時間とドラマ内時間は同調。現実世界で日が昇ればドラマ内でも日が昇る、といった具合。「全二十四話」と聞けばその長さに少々げんなりもするが、「ある一日の物語」ではすんなり受け入れることが出来るから世の中は不思議だ。同長線の錯覚図みたいなものか*1
とはいえ、「全二十四話」であっても「ある一日の物語」であっても関係ない。観はじめたが最後、二転三転と転がり続ける怒涛の展開に目が放せなくなる。内容を大雑把にいえば、ジェットコースター的展開をみせるダイハード。個人的には、根底に流れるテーマ「家族愛」もかなりの見所。それは所謂「American way of life」に基づくあちら側に散見する美意識。アメリカ人の信じる(夢想する)最高徳「家族愛」。全てを超越する最優先事項であり、規律や法律、道徳概念ですら制限するものではない。以前、プロ野球の助っ人外人がその価値観に基づき、契約を中途放棄して帰国した事件があった。これを日本では美談と解釈するのかどうか。
同ドラマ内では、家族をテロリストに人質に取られたジャックがやむを得ず暗殺計画に協力する。当局から追われることになったジャックは、家族を救出するために超法規的行動を採ることになる。共感する部分もあるが、同時にらしいなとも思う。極端な話、社会を構成する各人がそれぞれの価値感に基づき、逸脱行動を採ったならどうなるのか。まさにアナーキー・イン・ザ・USA。全ての人が強固な分別を持ち得なければ、エゴイズム合衆国となってしまう危険がある。大義名分を得ることによって肥大化した自己主張の境地というか。まさに「万人の万人に対する闘争」の世界。フィクションとはいえあちらの傾向がよく表れている。(日本版の翻案を作るとしたら、新たな価値観(忍耐等)を準備する必要があると思う)。ただ、日本人が集団意識という社会通念に縛られているように、アメリカ人も家族愛という社会通念に縛れているとして、そしてこれが彼らなりの社会風刺だとしたら、・・・とりあえず佐々木和浩はとんだ道化師なのではないかと心配することからはじめたいと思う。

*1:こんなの→「>-< <->」