24 -TWENTY FOUR

〜16:00まで観た。表向きは次期大統領候補暗殺計画を主軸とした物語で、裏テーマに家族愛があるとは以前書いた。しかしどうにも怪しくなってきた。家族愛の方こそが主軸なのかもしれない。
テロリストの暗殺計画は、二年前にジャックとパーマー双方が関わった「ナイトフォール作戦」に発端があることが明らかになった。標的となったのはビクター・ドレーゼン。同作戦によってビクター・ドレーゼンの妻と娘が巻き添えとなり死亡。現在進行中の暗殺計画の首謀者、アンドレ・ドレーゼンはビクター・ドレーゼンの息子。事件の全貌は、実働部隊の指揮官ジャックと作戦責任者パーマーを逆恨みしたテロリストたちの復讐劇。パーマーが次期大統領候補で、ジャックが彼を守るテロ対策ユニットに所属していたことは全くの偶然(!?)。逆恨みとはいえ、テロリストにもテロリストなりの大義名分があった。
一方で、次期大統領候補パーマー上院議員の心中も穏やかではない。暗殺騒動の他にも、彼を悩ませる事柄があった。過去に娘が襲われたレイプ事件について。犯人の自殺によって事件は一応の終息をみていたが、どうやらその死には息子が関わっているらしい。パーマーを除く家族たちによって、真相は直隠しにされていた。パーマーだけが蚊帳の外。事件の真相を報道したいというリポーター。自らの正義感と正当防衛を主張する息子を信じて、真相を白日のもとに曝すことにやぶさかでないパーマーだが、家族たちの思わぬ反発を受ける。その後、第三者の介入・工作によって二転三転。事態は逼迫。自らの信念を貫くことが息子を犯罪者へ仕立て上げることに。それは積み重ねた地位と努力をむざむざドブに捨てることをも意味する。信念と「家族愛」との葛藤に苦しむパーマー。
これにジャックのそれを加えて、三者三様の「家族愛」が描かれる。テロリストは報復行為としてジャックとパーマーのみならず、彼らの家族までも標的としていることも、それを強調する。ジャックとパーマーは共に、激務のため大切なときに家族の傍にいてやることが出来なかった負い目を抱えていて、それぞれの家族と自責の念によって責め立てられている(おそらくテロリスト側にも同様の自責がある)。このドラマを構成する全ての因果は「家族愛」に収束している。よってこのドラマは、失った(失いかけている)「家族愛」の復旧を志向する物語であるといえる。
好評を博したドラマ「僕と彼女と彼女の生きる道」の前半部分も、同様の物語を志向していた(最終的にはそれすら内包する実存的問題に拡大していたように思う)。また、旧来の日本的美学に反する、昨今の凶悪犯罪被害者家族たちの加害者への感情的でむき出しの憎悪を示して憚らない風潮などを考慮するに、家族至上の物語は案外日本人にとっても受け入れることの出来るテーマなのかもしれないと思ったりもする。しかしある価値観が強調されるということは、逆説的にその価値観が失われて久しいことを示していたりもするので、欧米の家族の現状はどれほど酷いものなのかと余計な心配をしてみたりもする。