愛情イッポン! 第五話

今回の主役は健太郎。家庭の事情によって急遽引越すことになった健太郎のため、巴(松浦亜弥)は夏八木道場最後の思い出として何かをしてあげたいと考える。彼が思いを寄せる女の子(←名前忘れた)は強い男の子が好きということで、その子の前で皆でわざと負けてあげるという作戦をたてるが、結局バレて失敗。最終的に、思いを寄せる女の子が思いを寄せる男の子(ライバル道場に所属)と健太郎が試合をする、というところまで話が大きくなるが・・・。


毎回どのような展開になるのか予想しながら観ているが、なかなか予想が当たらない。今回の話でいえば、健太郎が試合に敗れてしまうだろうことは予想出来たが、その後どのように物語を締めくくるのか想像がつかなかった。ありきたりなスポ根ドラマであるならば、過程としての努力を褒め称えるか試合に負けて勝負に勝つ、といったような筋書きが普通は用意されるだろう。
ではどのように物語が締めくくられたのかというと、まずはじめに試合に敗れた健太郎がライバル道場の連中によって罵られる。やがてそれが健太郎が所属する夏八木道場にも向けられるようになり、そこに至って健太郎がキレるという展開。自分を悪く言われるのは我慢できるが、夏八木道場や仲間たちを悪く言われるのは我慢できないのだという。


第五話まで観てみたが、やはり本ドラマは所謂スポ根モノの範疇ではないように思う。その理由としては、主人公である巴(松浦亜弥)自身が全く柔道をしないということも挙げられるが、もっと根本的な問題として、物語として目指すカタルシスが試合の勝敗を通じて得られる達成感などに殆ど依存していないように思われるところだ。ではカタルシスはどこに結びついているのかというと、夏八木道場(夏八木正平)を中心とした家族愛にも似た強い仲間意識・信頼関係にある。このことは劇中で散々語られ、示唆されてきたことではあるが。
その肝として夏八木親子のすれ違いがあると思うが、現時点で早くも巴が父親である夏八木正平の生き様を殆ど認めてしまっているように見えるので何ともいえないものがある。カタルシスを高めるため、最後の最後まで引っ張るべきではないかと思うのだけど。いつもの当たらない予想をするならば、再び夏八木道場の存亡に関わるような重大な問題が持ち上がり、それを解決すべく父親の意志を継ぐ形で巴が柔道の試合に臨む、という展開にでもなるのだろうか。


もうひとつ個人的に気になることは、夏八木正平の生き様の正当性というか他を犠牲にしてまで貫くべき信念のようなものがいまひとつ見えてこないということがある。ハロモニ劇場頑固一徹のように父親としての申し開きのない甲斐性のなさばかりが気になり、コメディ寄りのドラマながらもどこか遣る瀬無いものが感じられてしょうがない。