卒業かしまし

しばらくネットから離れている間に辻と加護がモーニング娘。を卒業してしまったようだ。大々的な卒業特番が組まれることのない今となっては、コンサートに足を運ぶことのない自分にとって、そういった節目を実感として捉えることが難しくなっている。ハロモニが二週間遅れの地方に住んでいるので尚のことで、それは残念なことだと思う。


歌番組などで『女子かしまし物語』を観るたびに、歌詞や振り付け、そして曲中の小芝居などの馬鹿馬鹿しさに感心させられる。ただ癖が強すぎるため、ファンの間でも賛否が分かれるであろうことは想像できるし、実際そうなっていると思う。
しかし本曲が発表された時期が、辻・加護、石川梨華飯田圭織といった多くのバラエティ要員の卒業を控えた時期であることを考慮に入れたならば、また違った見方も出来るような気がする。本曲を「原点回帰」と評していたサイトを見かけたがまさに通りで、ラブマシーン以後のモーニング娘。が打ち出してきたある特色を無理やりなまでに濃縮した集大成的な楽曲であり、同時に実験的なものでもあるように思える。
その特色とは言うまでもなく、楽曲に付随された仕掛けの楽しさであり、それはモーニング娘。をここまでメジャーとした要因のひとつとして数えられると思う。その「仕掛け」だけに焦点を絞って考えた場合、そういった馬鹿馬鹿しいまでの「仕掛け」による「楽しさ」は、常に「くだらなさ」を隣り合わせとする危ういものでもあるはず。もしつんくPがその危険性を知りつつも、あえて辻・加護の卒業というこの節目に無難な楽曲ではなく、メジャーモーニング娘。の集大成とも思える本曲を意識的にぶつけてきたのであるならば、良くも悪くも彼のモーニング娘。にかける意気込みを感じることが出来るような気がするが。


辻・加護といった、ファンでない者にとっても知名度が高いと思われるメンバーが抜ける今、モーニング娘。の今後の方向性を伺う上でも、この『女子かしまし物語』という楽曲が世間とそしてファンの間でどのような評価を受けるのか。とても興味深いものがある。自分もファンであることを差し置いても。