機動戦士ガンダムSEED DESTINY 第六話

新シリーズは意外に見応えがあり、毎週放送を楽しみにしている。本作はSEEDの続編なので、前作との繋がりを意識して観ても十分面白いと思う。しかし個人的にはこれまでのガンダムシリーズの中では雑魚MSの代名詞でしかなかった「ザク」が、新型ガンダムに拮抗する強さを発揮しているところに注目している。というか胸を熱くしている。
前作でも「ジン」というザクもどきのMSが登場していたのだが、全体的に肉厚であることと背後のウィングが独特のシルエットを形作り、「ザクもどき」の域を出ることのないしろものだった。なにより弱かった…。しかし本作の「ザク系MS」はそんなまがい物とはひと味もふた味も違う。シルエットどころか肩のスパイクアーマーや腹部と口周りの動力パイプ、ヒートホークと、「ザク」の正統後継機であることを示すディテールが目白押し。そして高性能とくる。まさに「ザク」のマイナーチェンジというべき機体で、アスランの搭乗する「ザクウォーリア」に至ってはカオスガンダムをも軽く凌駕する戦闘力を見せつける。不敵に可動するモノアイに迫力負けしない渋い仕上がりに、テレビの前の僕は一人満足することになる。


前作との繋がりとしては、隊長と隊員と立場の差はあれど、イザークディアッカ二人の友情に変わりはないように見える。搭乗MSも最新型の「ザク系MS」ではあるのだが、二人の以前の搭乗機「デュエルガンダム」と「バスターガンダム」を彷彿させる兵装を備えているようだ。
イザークディアッカアスランの三人は、MSの操縦技術や状況判断力など、総合的な戦闘能力が他から頭ひとつ抜き出た存在として描かれているように見える。三人は前大戦を己の技量をもってくぐり抜けてきた言わば歴戦のつわものであり、ザフト地球連合両軍の新世代エースたちをも圧倒する戦闘能力を持っていたとしても不思議はない。同時に、現時点では最も感情移入し易いキャラクターでもある。そんな彼らが活躍(しかも「ザク」で)する姿は爽快の一言。しかしそれだけに、物語としてのバランスを取る意味でも早い時点で表舞台から姿を消すことになりそうだ。本話の終わり方はアスランの死傷をにおわせるものだった。
また番組終了間近には前作の主人公・キラの姿が映し出されたが、どうにもおかしな雰囲気だった。もしかすると前述の理由から何か身体的・精神的ハンデを背負った設定なのかもしれない。