モーニング娘。雑記

最近のハロプロの動向を観ていると、たとえは古いが「護送船団方式」という言葉を思い浮かべる。カラリオのCMでは松浦亜弥を中心に、ハロプロオールスターズはモーニング娘。を中心に、互いの存続を維持するために力を合わせているような印象を受ける。ハロプロでは以前からも、合同コンサートやバックダンサーといった形で一方の認知度にあやかり顔を売り仕事を得るといった方式が採られているようなので、それが大っぴらな形で僕の眼に見える範囲にまで進出してきたということなのか。余談だが、ω(ダブルユー)のPVにまで登場してしまうベリーズ工房のあやかり方にはなかなか油断の出来ないものがある。
ただ、カラリオのCMの配役においては松浦が「主」でモーニング娘。が「従」ではあるのだが、だからといって芸能界での評価や序列といったものまでその様に変容した訳ではないと思っている。松浦で契約しているCMに、メディア露出を狙ってモーニング娘。を無理やりねじ込んだのが真相といったところではないだろうか。セット価格でお得ですとか言ってスポンサーを説き伏せて。ω(ダブルユー)まで登場させておいて、CMという公共の電波を用いての松浦に対する敗北宣言でもないだろうし。(松浦のCMにモーニング娘。が便乗している時点で優劣がはっきりしてたという考え方もあるだろうが。)ファンの人達はCDの売り上げやコンサートの動員数、そしてメディアなどでの扱われ方などの微細な変化に敏感で、即序列や評価といったものに結びつけたがる。かく言う自分も同じ穴のむじなであるとは思うが、いざ他人の手による文章を目にするとなんとも表面的で情の薄い分析だと感じたりもするのでいい気なものだ(僕が)。

ハロモニ矢口発言

そんなことよりも先週我が地元で放送された(テレビ東京10月24日放送)ハロモニでの矢口発言。それは、「優秀なメンバーを加入させ、その刺激によってモーニング娘。自体も成長させる」といったもので、僕の耳には第二の後藤真希待望論であると聞こえたのだが、それはまあいい。思慮深く決して口を滑せることのない飯田や中澤とは対照的に、毎度何の躊躇もなく先輩風を吹かす短慮な矢口さんっぷりも、まあいい。問題は、競争意識を煽ることによって各メンバーの成長を促そうと考えていることなのだが、これはさすがに捨て置けない。
はっきり言って、僕は現行モーニング娘。が矢口の言うような競争原理に基づく実力主義によって成り立っているとは到底思えない(この矢口発言によって実力主義に移行することもまずない)。そんなものは幻想だろう。歌唱力に難点のある紺野や石川の歌手としての優遇が実力主義によるものだとは考えにくい。そこにあるのはせいぜい人気主義とでも言うべきものだろう。そして「人気」とは、努力や熱意、真摯さなどの美徳を貫く者全員が得られるものでは当然ない。ときには理不尽で不平等で容易には計りがたいものだ。
表面上は努力や熱意などを奨励しておきながら、肝心の評価基準はそれらを超越したところにある「人気」に据える。このような態度は、メンバーを報われない(かもしれない)努力へと駆り立てる二枚舌のやり口に思える。それらの美徳を意味のないことだとは言わないが、勝利者ばかりを優遇して敗北者を蔑ろにすることを続けていては一部のメンバーからはやる気が損なわれ、それによってモーニング娘。の二極化は更に深化し、コントやフットサルでしか活躍の場を与えられない「アイドル飼い殺し」を増やすだけのような気がする。それこそが「モーニング娘。が成長しない」構造的・根源的な原因であると僕は考えるのだが。そもそも、安易に新メンバーに頼ることがどういうことを意味するのか、もっと深く考えてみるべきだとも思う。
一握りの勝利者モーニング娘。の将来を託すのもいいが、一方で否応無くその裏方に回らされるメンバーたちの胸の内へと思いを馳せてしまう僕は甘いのか。繰り返しになるが、そうならないためにも現在休止中のユニットを再始動させることが肝要ではないかと考えるのだが、現在のハロプロにそんな余裕は無いのだといわれたらグウの音も出ない。なんにしても成し遂げた成果によってではなく、やり甲斐によって動機付けして貰った方がファンとしては安心して観ていられるというもの。適当なことを言えば、その方が「ハルウララ」や「世界に一つだけの花」を有り難がる時代性により適しているのかもしれない。僕はふたつとも嫌いだけど。


ここまで語っておいてこんなことを書くのもなんだが、結局のところ矢口が語る「モーニング娘。」とは、自分の所属するグループとして何処に出しても恥ずかしくないものであって欲しいということなのだろう。それは、矢口の自己意識やら願望やら入り混じった理想像なのだと思う。現実に「成功する」グループ論とは別のところにある単なる一個人のたわ言に過ぎない。昔は良かったという老人の繰言と同じレベルだ。だから、それほど目くじらを立てて批判することもないのだが、それにしてもタイミングが悪すぎたという話。