機動戦士ガンダムSEED DESTINY日記

〜あらすじ
地球連合・オーブ連合軍に向けて陽電子砲の発射態勢に入るミネルバ。その一撃がもたらす物的・人的損害を想像し人々が目を覆いかけた刹那、一陣の閃光が陽電子砲を貫く。大破するミネルバ艦首。逆光を突き破り姿を現したのは、なんとフリーダムガンダムだった…。

そんなこんなで、二十二話終盤から二十三話にかけてのフリーダムガンダムの活躍にテンションは上がりっぱなし。鼻血が出るかと思った。前作に引き続き、ここぞという場面でガンダムが空から舞い降りてくるベタな展開。大胆なズームを起点とした迫力あるMS描写と、動と静が巧みに入り混じる戦闘シークエンス、などなど。ロボットアニメの醍醐味がこれでもかというほど詰め込まれている。しかも本作の魅力はこれだけに留まらないとくる。まだ放映途中だが、そろそろ傑作の認定を与えてもいいと思う。場の雰囲気を壊しがちなCG使用も最近では抑えているように感じる(または効果的に用いるようになった)。そこも好印象。


さて二十二話終盤から二十三話にかけての表面的な内容は、キラの駆るフリーダムガンダム地球連合・オーブ連合軍とザフト軍(ミネルバ)に対して鬼神のごとき強さを発揮する、というものだった。しかしそれは、単に卓越したパイロット技量によるものではなく、心的状況の表れでもあると感じた。そう考える一例として、キラと同等の腕前を持つアスランではあるが、ユニウスセブン落としに際しては一般のパイロットを相手に不覚をとっている。その時のアスランは父である故パトリック・ザラへの執着の中にあった。キラには迷いが無い。だから強いのだ。
『DESTINY』という副題が示すように、今回のシリーズは運命に翻弄される登場人物たちの苦悩や葛藤が物語の根底にある。(その意味でキラは主要キャラクターではない)。放映開始当初から丹念に描かれ、積み重ねてきたカガリの苦悩。それが二十三話でついに頂点へと達した。一国の代表として力及ばずならがも最善を尽くしてきたつもりであった。しかしそれは近視眼的な事なかれ主義でしかなく、前代表である父とその側近たちが身を挺して守り続けてきたオーブの理念とはかけ離れたものだった。目先の苦難ばかりに気をとられ、その先に控える大いなる悲劇へと考えを巡らせることを怠れば、ゆくゆくは取り返しのつかない事態となる。父の言葉の真意を痛いほど実感したカガリは、声にならない叫びをあげるのだった。