言葉についてのあれこれ

言葉を題材とする教養バラエティが目に付くようになってきた。それは『タモリのジャポニカロゴス』とか樹木希林の『大希林』とか、『世界一受けたい授業』の金田一秀穂担当部分だったりするのだが、この他にも、クイズ番組などでも言葉についての出題が増えてきたように思う。
ちなみに僕が好んで観ている同種の番組に『気になることば(『お元気ですか日本列島』内)』と『トリビアの泉』がある。一方は、視聴者から寄せられた質問を元に毎回テーマをひとつに絞り、必要があれば歴史的経緯を参照しつつ、平易で分かり易く、かつ質の高い回答を導き出そうとする。また一方は、知識の探求は上辺をなぞる程度に抑え、検証VTRの全く必要性のない作り込みに全精力を傾けようとする。両極ではあるが、共に番組制作に向かうスタンスが明瞭なので気持ちがいい。
この二つに比べると他の番組は中途半端であると感じる。普段何気なく使用している言葉が実は誤用であるとか、場面に即した敬語の正しい用い方などを指摘するまではいいが、その後、誤用の由来であったり敬語の成立形態について深く掘り下げる訳でもなく、かといってバラエティ性を追求するでもなく、放ったらかしに近い。少なくとも僕には満足出来ないレベル。要するに意外性を強調するだけでどっちつかずなのだ。流行を追っているだけとも言える。知識欲を刺激する餌を目の前におあずけを食っているようでやきもきさせられる。
それにしても『トリビアの泉』のバラエティ志向は呆れるほど徹底している。たった数分のために海外ロケを敢行したりその道の第一人者をキャスティングしてみたり。そこまでして出来上がったVTRは実に馬鹿馬鹿しいとくる。ここまで突き抜けていると逆に清々しい気分になる。筒井康隆にも通じる大真面目にくだらないことに取り組むこの姿勢は、凡人には出来そうでなかなか出来ることではない。