ミニモニ。でブレーメンの音楽隊 第十一回

万事が雛子の思い描く通りに進むかと思えた矢先、事態は思わぬ方向へ転じる。進は住処である廃工場を追い出されようとしてた。追い出そうとしているのは健治の父親の会社の者たち。廃工場の再利用のため、そこに住み着く進たち孤児の存在が邪魔なのだ。到着の遅れが気になり、進たちの様子を見に来ていた雛子も騒動に巻き込まれる。奇しくも本日は健志の誕生日。ハーモニカ合奏を約束した演奏会の日だった。約束のため、立て篭もりを内側から破り健治のもとへ戻ろうとする雛子。一方、住処を失いたくない進は雛子を必死で引き止める。雛子が本日中に犬塚家へ戻ることは絶望的だと思われた・・・。
進が住処を追われようとしているのは、健志の父親のハーモニカ生産事業のあおり。因果なことに、事の発端は雛子にあった。ハーモニカの授業が楽しいという何気ない雛子の一言。それが健志の父親に事業計画を思い立たせていた。更に皮肉なことに、この事業の根本には健志の好きなハーモニカを広めたいという親子愛、健志は決して独りじゃないとのメッセージも込められていた。相手を思いやる気持ちが巡り巡って裏目に。無慈悲な現実。
結局雛子は世間知らずの理想主義者でしかなく、精々周囲の人々の心を明るくさせることしか出来ないということか。それとも、厳しい現実(因果律?)を前にしては、人は全くの無力でしかないということか。(各部、フィクションへ逃げ込むことを良しとしないシビアさがある)。そもそも雛子ははじめから現実感覚が欠如しているようにみえた(進に説教するくだり)。理想で現実を変えることは出来ないというリアリティ。純粋無垢な心が頑なな心を溶かすということの他に、現実の厳しさを効果的に伝えたいがための人物設定だったのかもしれない。
次回、健志は志半ばに他界する。最後に希望を取り戻せたこと(自分は役立たずではない→自分の生には意味がある)を救いとするとしても、それを差し引いてまだなお後味が悪い。他に全てを引き受ける落とし所を用意しているのかな。きっと何か用意しているに違いない。作り手が迷惑しそうなくらい期待してしまっている自分。来週が待ち遠しい。